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もうすぐ「絶滅する」というファッション誌 休刊ラッシュで失われる大切な「役割」とは

休刊ラッシュが続くファッション誌

 当初は『マーガレット』の妹誌としてスタートしただけに、マンガも掲載される総合週刊誌であった。しかし、88年にリニューアルし、ファッション誌『セブンティーン』に生まれ変わってからは専属モデルとなり、表紙を飾ることが人気女優への近道となっていった。過去の専属モデルには吉川ひなの、長谷川京子、木村カエラ、北川景子、水原希子、桐谷美玲などの名が並ぶ。

 また、同時に集英社は働くアラフォー世代向けのファッション誌『Marisol』も今秋以降、月刊誌を終了すると発表した。休刊になった『メイプル』の後継誌として2007年に創刊されて以来、川原亜矢子、SHIHOなどをカバーモデルに起用し、近年はエビちゃんこと蛯原友里も表紙を飾っていた。

 直接的なきっかけはコロナ禍だろうが、2010年代に入ってからファッション誌の売上げは低下していった。比較的好調だと言われる雑誌でも10万部に届かない。最盛期は100万部近くの発行部数を誇っていた雑誌ですら近年はこの有様だ。このまま紙の雑誌はデジタルに取って代わられるのか。もう私たちは紙の雑誌を必要としていないのだろうか。 

紙のファッション誌が果たしてきた役割

 洋裁からプレタポルテへ。70年代はおしゃれな既製服が次々と登場し、デザイナーやブランドが重視され始めた時代である。女性たちはどこに行けば、どんなブランドの服が、いくらで買えるのか、という情報を求めていた。もちろん、どうすればおしゃれに見えるのか、という服の着こなしを教えるのがファッション誌の重要な役割だった。モデルは憧れの存在となり、服の着こなしを指南してくれるスタイリストもスター化された。

 キャリアかマダム(専業主婦)か、オフィスで働くための服か、ママ友とランチに行くための服か。あなたはどちらの服を選ぶのか、どちらの生き方を選択するのか。ファッション誌の役割は単に欲望を喚起するだけではない。欲望喚起装置であると同時に服を通して生き方を導く、生き方の教科書にもなっていった。

 一方、キャリア女性のライフコースを描いてみせたのが、小学館だ。『CanCam』『AneCan』(2016年休刊)こそ、キャリア志向ではないものの、『Oggi』『Domani』『Precious』とこちらは20代から40代までの働く女性向けファッション誌を用意した。

 2000年代になると『Sweet』『InRed』などキャリアでもマダムでもない、「大人女子」を掲げた宝島社のファッション誌が台頭するようになり、あらゆる生き方に対応するファッション誌が出揃うことになった。

デジタル化で失われる生き方の教科書

 しかし、もはや光文社の看板雑誌だった『JJ』はない。集英社の『non・no』はめでたく50歳を迎えたが、『セブンティーン』も『Marisol』もなくなってしまう。小学館の『Oggi』はあっても『Domani』はない。私たちに今日(オッジ)はあっても明日(ドマーニ)はないのだ。スマホでファッション情報を得ることが当たり前になり、もちろん若い世代は雑誌を読む習慣などないのだから、仕方のないことではあるが。

 しかし、生き方の教科書としてのファッション誌の役割はどうなってしまうのだろうか。読者に寄り添い、年齢を重ねても新たなステージで常に水先案内人として読者を導いてきたファッション誌の役割は。30歳、40歳、50歳、節目の年齢を迎える度に立ち止まり、結婚、出産、育児と仕事の両立とさまざまな問題に思い悩む女性たちの背中をファッション誌は押してきた。「大丈夫、あなたの生き方は間違っていない。これからも頑張って」と。

 

<p class="nobr" style="font-size: 15px; color: rgb(51, 51, 51); font-family: メイリオ, " hiragino="" kaku="" gothic="" pro",="" meiryo,="" "ヒラギノ角ゴ="" pro="" w3",="" "ms="" pgothic",="" ui="" gothic",="" helvetica,="" arial,="" sans-serif;"="">  人生に必要なことはすべてファッション誌で学んだアラフィフ世代の私としては、生き方の教科書がなくなってしまうことに一抹の不安を感じるが、もはや杞憂なのだろうか。人生に必要なことはすべてスマホの中にあるのだろうか。あるいは、生き方の教科書などいらないほど、私たちの人生は自由になったのだろうか。

  最終更新:2021/07/16  【印刷】  【キャンセル